Photo: Yasumitsu Takai
四方謙一は、2010年頃より彫刻やインスタレーション、写真などの表現活動を展開してきたアーティストです。近年は、奥能登国際芸術際2020+への出展、山口銀行賞を受賞した第28回UBEビエンナーレでの野外彫刻展示など、多数の国際芸術際への出展、またMIYASHITA PARK(渋谷区)内の天井に設置された常設作品、大阪国際空港の壁面6箇所に設置された作品群など、大規模な作品の発表が続きます。一方、英アート雑誌『Aesthetica Magazine』が主催するAesthetica Art Prize 2020へのショートリストに選出されるなど、国外でも評価されています。
野老朝雄氏(美術家)に師事した四方は、緻密に計算された金属の立体作品に見られる、幾何学的でミニマルな造形や、近年では素材の特性、また設置場所の環境を積極的に取り込んだ作品制作を試みています。図面上では最小限の線の構成に過ぎなかったそれらの造形が、複雑で常に移り変わる金属面の集合体となって立ち現れ、周囲の状況に呼応しながら無限の変容を見せます。
今回の個展では、主に3年前から取り組み始めたGravityシリーズの新旧作、色を用いた光の実験作品を交え、構成します。これらは、コロナ禍の作家のおかれた環境で始まった、「地球にまかせる」をテーマにした重力によって変質し、周囲の状況が様々な「かたち」となり、現れる作品群です。一片の金属板が、必要最小限の切り込みと、重力によってかたちつくられ、周囲の状況とともに変っていきます。取り巻く環境によって姿を見せる立体群が、この場所の可能性を示しながら、この場をつくっていくことを、様々な地域で試みてきました。
また、作家にとって初となる色を用いた実験的作品も展示されます。これらは「光とオブジェクトの実験的構成」として、オブジェクトの配置からできる空間を解釈するための光を用いた試行装置です。
「地球にまかせる」「光にまかせる」など作家の手を離れ、周囲の環境に委ねながら、相互に関わることで作品はかたちつくられ、さらには、それらもこの場となっていきます。それは「周囲の状況が作品をつくり、その状況がこの場をつくっていく」状況の連鎖とも言え、この場を解釈し、この場所の新たな環境を条件付けていくことで、変化は連鎖しながら更新されていくと考えます。
「これら作品群の制作を始めた、自然や社会の変化に翻弄されたこの3年間を経て、現代社会はさらに複雑で多様な状況となった。これらは隠れて見えなかった、もしくは見てこなかっただけかもしれない。これらを読み解いていくだけでなく、読み替えそして発見する視点をもつこと、これからの未来に一つの示唆を与えてくれる、そのような関係をつくっていきたい。」
四方 謙一 / シカタ ケンイチ https://shikatakenichi.com/
photo: Hajime Kato
1983 年 京都生まれ
2004 年より野老朝雄氏に師事
2007 年 早稲田大学芸術学校建築設計科卒業
近年の主な作品、展示など
2022 年 「あたながみる景色」黒島アートプロジェクト2022 / 黒島2021 年 「Gravity -この地をみつめる-」奥能登国際芸術祭2021+ / 珠洲,「個展 -この場所を過ごすそれぞれのかたち-」ときわ湖水ホール / 宇部2020 年「Flowing time reflecting on the river」 MIYASHITA PARK / 渋谷*
2019 年「collecting view in the well」第 28 回 UBE ビエンナーレ / 彫刻の丘 / 宇部, 「waft eyes」The Fine Tower / 大阪 *
2018 年「bubbles in flow 」「soragiwa 」関西国際空港*, 「GLOWING GROWING GROUND」大阪国際空港*
2017 年 「starry sky view」旭町診療所 / 千葉 *, 「個展 -Ray-」西武渋谷 / 東京
2015 年〜「Assimilated View」 SiTE 2015 / 松戸 21 世紀の森と広場 / 松戸 *
*常設作品
主な受賞
2022 年「 Brillia Art Award 2022 “大賞 ”」(東京建物八重洲ビル THE GALLERY / 東京)
2020 年「Aesthtetica Art Prize 2020 “Shortlist”」(York Art Gallery / York UK)
2019 年「第 28 回 UBE ビエンナーレ “ 山口銀行賞 ”」(彫刻の丘 / 宇部)
2018 / 2016 年「第 13 回/第 14 大分アジア彫刻展 “ 優秀賞 ” / “ 豊後大野賞 ”(各回受賞)」(朝倉文夫記念館 / 豊後大野)
2015 年「EAST-WEST ART AWARD 2015 “Grand Prize”」(London)
2014 年「第 13 回 KAJIMA 彫刻コンクール “ 銀賞 ”」(鹿島 KI ビル / 東京)
2013 年「神戸ビエンナーレ 2013 アート イン コンテナ国際展 “ 準大賞 ”」(神戸)
Kenichi Shikata
1983_ Born in Kyoto.
2004-_ Studied with Asao Tokolo.
2007_ Graduated Art and Architecture School of Waseda University.
Main works, exhibitions, awards
2022_“Your Scenery” “Various Arches ” (Kuroshima Art Project 2022 / Kuroshima Wajima)
2021_ “Gravity – Gazing at this place” (Oku-Noto Triennale 2020+ / Suzu), “Solo exhibition -Each form of being in the place- ” (Tokiwa Lake Hall Art Gallery / Ube)
2020_“Flowing time reflecting on the river” (MIYASHITA PARK / Shibuya)*, “Aesthtetica Art Prize Finalist” (York Art Gallery / York UK)
2019_ “Collecting view in the well”(28th UBE Biennale / Ube) , “waft eyes”( The Fine Tower / Osaka)*
2018_ “bubbles in flow” “soragiwa” (Kansai International Airport)*, “GLOWING GROWING GROUND” (Osaka International Airport)*
2018 / 2016_ “The 14th/13th OITA Asian Sculpture Bungo-ono Award & award of excellence” (Fumio Asakura Museum of Sculpture / Bungo-Ono Oita)
2017_ “Starry sky view” (Asahi-cyo Clinic / Chiba)* , “Solo exhibition -Ray- ” (SEIBU Shibuya / Tokyo)
2015_ “EAST WEST ART AWARD 2015 Grand Prize” (London), “Assimilated View” (21st century forest park / Matsudo)*Permanent since 2023
2014_ “The 13th KAJIMA Sculpture Competition Silver Award” (KI bldg. atrium / Tokyo)
2013_ “Kobe Biennale 2013 Second Prize” (Kobe)
*Permanent work