touch GRIP  06  /  Shunji Yamanaka

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高さを自由に変えシーンに寄り添う

山中俊治

高さを自由に変えシーンに寄り添う – 山中 俊治
(提供/ウシオライティング株式会社)

「Eclipse」は、2011年にマックスレイから発売された、「光源の不在」をテーマにしたペンダントランプである。オーソドックスな形状のシェードの上縁には数十個のLEDが巧みに隠されており、一見すると光源がなく、傘の内面だけが照り返しで輝いているように見える。このシェードを天井からどのように吊るすかを考えていた時、以前から交流のあった荒川技研工業の製品を思い出した。傘の中央に一本のワイヤーを通してARAKAWA GRIPで固定すれば、作業用にも食卓用にも自由に高さを変えられる……。こうして、極細のワイヤーに支えられた、シェードだけのシンプルで機能的な照明器具「日蝕」が誕生した。〈文/山中俊治〉

山中俊治

山中俊治

工学とアートの両視点から、腕時計から鉄道車両に至る幅広い工業製品のデザインを手掛ける。世界に先駆けたICカード改札機の大規模導入の立役者としても知られ、近年は先端技術を駆使したプロトタイプを多数発表し、科学の発展に寄与している。2023年に東京大学特別教授の称号を授与された。

https://www.iii.u-tokyo.ac.jp/faculty/yamanaka_shunji

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