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目利きから伝わる「逸品」の情報

石田俊二

目利きから伝わる「逸品」の情報 – 石田 俊二
照明器具メーカー「iGuzzini」の「Le Perroquet」は、石田氏が設計に携わった「ハーバード美術館群」(2014年)の改修・増築プロジェクトにも採用されている(提供/©︎Nic Lehoux / RPBW)
目利きから伝わる「逸品」の情報 – 石田 俊二
「Le Perroquet」は、2000年に製品化されて以来、現在も「iGuzzini」のカタログに掲載されている(提供/iGuzzini トレックス)

目利きから伝わる「逸品」の情報

1969年に東京工業大学大学院の清家清研究室からヨーロッパへ飛び出した私は、1972年に縁あって建築家ユニット、ピアノ&ロジャーズの「ポンピドゥー・センター」の実施設計チームに参加。完成後の1977年にレンゾ・ピアノの設計事務所の設立に参加し、そこで働くことになった。レンゾをはじめスタッフや環境とも呼吸が合い、気がつけばシニアパートナーとして現在まで長く貢献してきたと自負する。
私と荒川技研工業の出会いを思い起こせば、1990年代初期にレンゾの次男、マッテオ・ピアノを中心とする工業デザイングループがイタリアの照明器具メーカー「iGuzzini(イグッチーニ)」とライティングプロダクトを共同開発していた時のことだ。ワイヤーを必要とする製品を出すと言うので、iGuzziniの技術者、フランコ・ニバルディに荒川技研工業の製品を紹介したのが始まりだった。同社のパーツは、照明のアタッチメントとして的確に機能した。
荒川技研工業の製品情報については、槇文彦設計事務所から教えてもらっていた。優れたマテリアルの情報は、目利きの内輪から伝わるものである。その後、荒川技研工業の製品は、イタリアでもハイエンドなパーツとして広く認識されたことは言うまでもない。〈文責/高橋正明〉

石田俊二

石田俊二

Renzo Piano Building Workshop

1944年、静岡県に生まれ、1968年に北海道大学建築学科を卒業。その後、東京工業大学で清家清教授に師事した後、1969年から1970年までロンドンのアラップ・アソシエイツに勤務した。1971年から1977年まで、パリのピアノ&ロジャーズでポンピドゥー・センターの実施設計に携った。1977年、ジェノバ事務所に異動。1984年、Building Workshopの創設パートナーの1人となり、それ以来スタジオ全体の役割として、すべての作品に協力してきた。携わった主なプロジェクトには、「メニル・コレクション美術館」(ヒューストン)、「スタディオ・サン・ニコラ」(バーリ)、「関西国際空港ターミナルビル」(大阪)、「カリフォルニア科学アカデミー」(サンフランシスコ)、「ナッシャー彫刻センター」(ダラス)、「銀座メゾンエルメス」(東京)、「ホイットニー美術館」(ニューヨーク) など。2015年以来、RPBWフェローとして、レンゾ・ピアノ財団と積極的に協力している。

https://www.rpbw.com/

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