
浮遊の森
店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2008」の荒川技研工業のブースデザインである。ちょうど同社から棚受けグリッパー「BU-70」が発売されたタイミングで、その機構をうまく見せる展示をつくって欲しいという依頼を受けた。棚板の下面に埋め込み上下に昇降できることがポイントであるが、ただ埋めるだけでは製品の良さが伝わらないと考え、魅力的に吊りシステムを見せることが大きな課題となった。
具体的には、透明レジンの棚板に「BU-70」を埋め込むことでシステムを見えるようにした。その棚板には福島で拾ってきた枝にプリザーブド加工を施し、封入している。ファサードの枝には、さまざまなタイプのグリップを採用。一枝あたり2カ所のヒートン(丸環ネジ)を取り付け、天地に張られたワイヤーを自在に上下させることで、枯れ枝があたかも新たな自然の時間をつくり出す、活け花のような手法で空間をつくり上げている。ドラマティックなライティングと相まって、幻想的な「浮遊する森」が生まれた。〈文責/高橋正明〉