leads GRIP  07  /  Jun Murakoshi

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平衡がつくり上げる「線」

村越 淳

平衡がつくり上げる「線」 – 村越 淳
撮影/五十嵐絢也
平衡がつくり上げる「線」 – 村越 淳
撮影/五十嵐絢也

平衡がつくり上げる「線」

インスタレーション「Equilibrium」は、ARAKAWA GRIPの新たな一面を浮かび上がらせる試みである。そこには、グリップに圧がかかる受動的な使用ではなく、グリップで圧をかける能動的な使用という発想の転換があった。連なった中空の円柱ユニットにワイヤーを通し、両端をグリップで締めるという構造によって、一本の長い線状の物体をつくり上げている。内部では、グリップを介してワイヤーの引張応力とユニットの圧縮応力が均衡して同時に存在する。
「Experimental Creations」での展示を皮切りに、ミラノサローネにも出展。「Almach Art Gallery」や「TIERS GALLERY」など、空間に合わせて異なる表情を生み出してきたのも、本作品の一つの特徴である。 〈文/村越淳〉

村越 淳

村越 淳

Jun Murakoshi Design・Takram

社会や暮らしの中で見過ごされがちな、柔らかさや弱さを伴う感情や事象に寄り添うデザインを手掛けており、作品はニュルンベルク新美術館、上海ガラス美術館に収蔵されている。千葉大学大学院ならびにRoyal College of Artを修了。千葉大学非常勤講師。

https://junmurakoshi.com/works/

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