「REN」は、創業100年を超えるいけばな花材専門店「東京生花」の別事業として企画された観葉植物専門店だ。一つひとつの植物を大事に扱うため、空中に植物を浮かせる棚をつくり、空間をフレキシブルに構成した。
「それぞれの植物に、あたかも盆栽のような存在感を持たせたい」というクライアントとの話から、アイレベルを重視した。陳列される植物は、時々入れ替えられ、サイズも変わる。そこで、高さを自由に調整できるARAKAWA GRIPで固定した。天井から吊られたワイヤーの端部は、プランターの下に貼った磁石でまとめている。
多店舗展開やイベント開催の時でもこの什器だけで展開できるような、軽やかさをつくりたかった。テンション(引っ張り材)でデザインをやり切れば、より軽やかに仕上げることにつながると考えた。
今後の荒川技研工業のプロダクトには、メッキなどの加工を施さない、無垢の素材感を活かす方向性を期待したい。他国からも類似商品が大量に発売されている中で、同社はクオリティーでフラッグシップを取るべきだ。そのためには、ミニマムなデザインと素材感を徹底し、美意識ある表現が求められるだろう。一歩先を行くうちに、なんとしても世界最高のグリップであるというポジションを確立するべきでないかと思う。〈文責/高橋正明〉