leads GRIP  02  /  Daisuke Motogi

Back

重力から解き放たれた素材

元木大輔

重力から解き放たれた素材 – 元木 大輔
「Strange Tensegrity Table」。テンセグリティー構造を構成する張力材にワイヤーを、圧縮材にホウキを使用し、グリップによりつないでいる(写真提供/DDAA)
重力から解き放たれた素材 – 元木 大輔
「Strange Tensegrity Table 2」。圧縮材の一部として有機的なマテリアルを組み合わせたいと考え、山中で朽ち独特の表情を持つ髑木を採用し、脚として機能させている(撮影/長谷川健太)
重力から解き放たれた素材 – 元木 大輔
「Strange TensegrityTable 3」。髑木とパイプを組み合わせ、浮遊感を感じさせる構成とした
(撮影/長谷川健太)

重力から解き放たれた素材

竣工したばかりの「TIERS GALLERY」で開催された、マテリアルの実験やクリエーションのプロセスにフォーカスした展覧会「Experimental Creations」。会場構成を担う上でデザインした「Strange Tensegrity Table」は、当初に浮かんだアイデアをそのまま具現化している。
ローコストかつ支給品としてワイヤーを使うことができるという条件を踏まえ、ワイヤーを使ったテンセグリティー構造で天板を固定。ワイヤーに引っ張られる圧縮材として、安価な大量生産品を使用したいと考えた。最終的には、いかにも安っぽく格好悪いと思われているプラスチック製のホウキを選択。ただ、格好悪い色が存在しないのと同じで、格好悪い素材は存在しない。重要なのは使い方や組み合わせだ。さっきまで格好悪かったものを格好良いものとして「リフレーミング」すれば、何か新しいものをゼロからつくることなく、世界を少し良くすることができるかもしれない。
次に制作したローテーブル「Strange Tensegrity Table 3」は、圧縮材のうち1本だけを変化させている。その際、計算ができていない有機的な形が面白そうだったので、流木や髑木を組み合わせることを思いついた。素材と力学によって、全体の形が決まる。ワイヤーが素材を三角形を分割したような多面体でフレーミングしてくれるのと、テンセグリティーの特性上、圧縮材が空中に浮かぶので、まるで素材が重力から解き放たれたように見える。〈文責/高橋正明〉

元木 大輔

元木 大輔

DDAA

1981年、埼玉県生まれ。2004年、武蔵野美術大学造形学部建築学科を卒業後、スキーマ建築計画に勤務。2010年、DDAAを設立。2019年、コレクティブ・インパクト・コミュニティを標榜し、スタートアップの支援を行うMistletoeと共に、実験的なデザインとリサーチのための組織DDAA LABを設立。2021年、第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展参加。CEKAI所属。シェアスペースhappa運営。東京藝術大学非常勤講師。

https://dskmtg.com/

Next Interview: Masako Tokuda