ubique

2023.09.01-09.12

ubique

The invisible and visible beauty of ARAKAWA GRIP

2023年9月5日に荒川技研工業は50周年を迎えます。

これまで多くの建築家やデザイナーのクリエイションを支えながら、進化を重ねてきたワイヤーシステムARAKAWA GRIP。その背景を見つめ、機能美と佇まいそのものにフォーカスしたインスタレーションを空間デザイナーの吉添裕人が手掛けます。

また、同ショールームでは、ARAKAWA GRIPの原点であるプロダクト「ハンドプラー(HP-1)」や、今まで交流してきた建築家やデザイナーの作品を、50周年プロジェクト‘50 GRIPS’のトータルディレクションを⼿掛けるSTUDIO BYCOLORによりご紹介いたします。ARAKAWA GRIPの源流を紐解く展示をどうぞご覧ください。

Concept

ubique

ubique

The invisible and visible beauty of ARAKAWA GRIP

遍在を見つめる

荒川技研工業とのコラボレーションとして、ARAKAWA GRIPの元素と言える金属素材そのものの美しさに着目した吉添は、その素材や工場で見た風景をあるがままに空間に構成することを提案します。そこに唯一掛け合わせる要素は、自身の制作活動における精神性として重要視する空気や風、光、陰といった、かたちのない流動的で不完全なエレメントです。

本展では、パーツが放つ魅力がどのようにして作り出されるのか、その点景を工場の現場から抽出することからはじまります。加工前の金属棒、切削加工の過程で出るスクラップ、そしてARAKAWA GRIPの多種多様なパーツ機構、空間を走るワイヤー。それぞれのマテリアルが持つ力強くも繊細な美しさを直接的に引用すると同時に、工場の風景や製造過程にインスピレーションを得て、空間を構築していきます。

荒川技研工業が生み出すワイヤーシステムは主に建築、空間業界において活用され、様々な設計者のイマジネーションをかたちにしてきました。存在を感じさせず、まるで空気のように設計者に寄り添う姿勢は丁寧なものつくりの積み重ねによって実現されています。

展覧会名は「ubique(ウビークエ)」。ラテン語で遍在すること、至る所に存在することを意味するこの言葉は、ARAKAWA GRIPのその立ち居振る舞いを体現する言葉であると吉添は考えます。また、作者自身が見つめ続けるかたちのないマテリアル、不均整な存在がもつ可能性の追求に通ずる言葉でもあり、この二者の共通項が自然と空間の中で重なっていきます。

荒川技研工業の半世紀のものつくりが引き継いできたもの、そして、これからの半世紀に引き継いでいくもの。過去から未来にわたって脈々と繋がれていくその潮流の場景をインスタレーションとして表現します。

製造過程の部材のみでインスタレーションを展開

これまであらゆる素材との組み合わせを可能にしたARAKAWA GRIPですが、本展示では埼玉県にある所沢事業所で製造過程で使用される部材や金属加工後の切り屑等、製造過程の部材にフォーカスをし、インスタレーションを展開します。

ubique
機械加工前のバー材

併設のショールームではこれまでのクリエイターとの取り組みを紹介

併設のショールームではミラノデザインウィーク2023でも展示した内容を再構成し、原点であるプロダクト「ハンドプラー(HP-1)」や、ARAKAWA GRIPが活用された建築家やデザイナーによる紹介を、50周年のトータルディレクションを手掛けるSTUDIO BYCOLORにより、コンセプトカラーを活用 した会場構成を通して紹介いたします。創業者・荒川秀夫から始まったARAKAWA GRIPが、あらゆる場所でクリエイションを支えてきた記録をご覧いただけます。

ubique
撮影:太田拓実 ミラノデザインウィークでの展示風景

Creator

Hiroto Yoshizoe

吉添 裕人

Hiroto Yoshizoe 吉添 裕人

武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。独立後、都市開発や商業施設開発、ホテル開発等の空間デザインを主軸としたクライアントワークに従事する。その経験は2017年より開始した個人的な制作活動に影響を与え、人間の感覚器官と環境のインタラクティブな関係性の構築や空間的拡張性表現の追求といった、身体と空間の呼応を重視した独自の制作プロセスを形成している。

自然風景や現象、素材などプリミティブな要素からインスピレーションを受けると同時に、自身のアイデンティティと密接につながりを持つ日本の文化背景や宗教観と通ずる「変化」「動き」「時間」といった不完全で流動性のあるテーマを探求している。

2017年「PIXEL」、2021年「hymn」をはじめとする発表作品で多くの受賞歴があり、日本、イギリス、イタリア、アメリカ、ブラジル、中国など各国で作品を発表。空間領域から拡がる幅広い分野での活動を続けている。京都芸術大学非常勤講師。

HUBLOT DESIGN PRIZE 2022 Finalist (UK)、ELLE DECO International Design Awards-EDIDA 2022 Best in Lighting Nominated by Japan Edition (JP)、dezeen Milan Design Week 2018 Lighting Design TOP10 (UK)、dwell 24 selection (US)、LEXUS DESIGN AWARD 2017 Grand Prix (IT)、LEXUS DESIGN AWARD 2016 Finalist (IT) 等受賞多数

https://www.hirotoyoshizoe.com

Director

STUDIO BYCOLOR

スタジオ バイカラー

STUDIO BYCOLOR スタジオ バイカラー

色や素材の持つ力を効果的に活用するデザイン事務所STUDIO BYCOLOR。2013年、秋山かおりにより設立。2002年千葉大学工学部デザイン工学科卒業、オフィス家具メーカー勤務を経て現在に至る。マテリアル実験から生まれたINHERENT:PATTERNは2022年iF DESIGN AWARDを受賞。その他German Design Award、DFAアジアデザイン ゴールド賞、DIA Top100、グッドデザイン賞受賞、LEXUS NEW TAKUMI PROJECT2016 選出等。グッドデザイン賞審査員の他、千葉大学、法政大学デザイン工学部にて非常勤講師を務める。近年は素材を切り口に日本のクリエイティビティを海外へ伝えるMATERIAL IN TIME を香港をはじめとする国内外で主催。2023年ミラノデザインウィークで開催した荒川技研工業の展示'Less, Light, Local'のディレクションを務める。

https://studiobycolor.com

Organizer

1973年に創業。創業者であり、工学博士である荒川秀夫氏が「ないものを創る」を理念に会社を立ち上げ、1975年に世界に先駆けてワイヤー金具の調整機構「ARAKAWA GRIP」を開発。その後この技術を核とした用途製品を次々と開発し、製造、販売事業を展開、小さいながらも自社のブランド「ARAKAWA GRIP」を持つ。表参道に本社兼ショールーム「TIERS」を構え、西日本の営業拠点である大阪オフィス兼ショールーム、そして、製造(部品製造、設計、生産技術、資材、組立)及び出荷を行う東日本の営業拠点、所沢事業所、と、これら3拠点の緊密な連携をもとに、北海道から沖縄まで日本列島すべてをカバーしている。国外では「メイドインジャパン」のARAKAWA GRIPとして愛されており、2022年には同社ワイヤーシステムがグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。日本のものづくりを世界に発信し続けている。

https://www.arakawagrip.co.jp

Venue

TIERS GALLERY(ティアーズギャラリー)は、荒川技研工業株式会社 本社・表参道ショールーム「TIERS」3Fにあるクリエイターのためのギャラリーです。建築家・田邊曜が設計した「TIERS」は段状、層という意味の言葉であり、外部から内部へつながる大階段、途中階のテラス、野老朝雄デザインによるパターンを用いたワイヤーのファサードにより、緩やかに街と連続する空間をつくりだし、訪問者を優しくTIERS Galleryへ導きます。世界最高峰のデザイン賞「iF DESIGN AWARD」他多数の賞を受賞。

https://www.arakawagrip.co.jp/tiersgallery/

Overview

タイトル
ubique(ウビークエ)
The invisible and visible beauty of ARAKAWA GRIP
期間
2023年9⽉1⽇(金)〜12⽇(火)
時間
13時〜20時
⼊場料
無料
レセプション
9月1日(金)18時より
トークショー
9月8日(金)18時~19時
会場
TIERS GALLERY by arakawagrip(東京都渋谷区神宮前 5-7-12)

Google Maps

Credit

主催
荒川工業技研株式会社
ディレクター
STUDIO BYCOLOR
クリエイター
吉添裕人
グラフィック
前島淳也
協賛
株式会社ワイ・エス・エム、有限会社落合製作所、株式会社NBCメッシュテック、フェイステック株式会社、アイティーエル株式会社、有限会社藤岡工芸社