Concept

ubique
The invisible and visible beauty of ARAKAWA GRIP
遍在を見つめる
荒川技研工業とのコラボレーションとして、ARAKAWA GRIPの元素と言える金属素材そのものの美しさに着目した吉添は、その素材や工場で見た風景をあるがままに空間に構成することを提案します。そこに唯一掛け合わせる要素は、自身の制作活動における精神性として重要視する空気や風、光、陰といった、かたちのない流動的で不完全なエレメントです。
本展では、パーツが放つ魅力がどのようにして作り出されるのか、その点景を工場の現場から抽出することからはじまります。加工前の金属棒、切削加工の過程で出るスクラップ、そしてARAKAWA GRIPの多種多様なパーツ機構、空間を走るワイヤー。それぞれのマテリアルが持つ力強くも繊細な美しさを直接的に引用すると同時に、工場の風景や製造過程にインスピレーションを得て、空間を構築していきます。
荒川技研工業が生み出すワイヤーシステムは主に建築、空間業界において活用され、様々な設計者のイマジネーションをかたちにしてきました。存在を感じさせず、まるで空気のように設計者に寄り添う姿勢は丁寧なものつくりの積み重ねによって実現されています。
展覧会名は「ubique(ウビークエ)」。ラテン語で遍在すること、至る所に存在することを意味するこの言葉は、ARAKAWA GRIPのその立ち居振る舞いを体現する言葉であると吉添は考えます。また、作者自身が見つめ続けるかたちのないマテリアル、不均整な存在がもつ可能性の追求に通ずる言葉でもあり、この二者の共通項が自然と空間の中で重なっていきます。
荒川技研工業の半世紀のものつくりが引き継いできたもの、そして、これからの半世紀に引き継いでいくもの。過去から未来にわたって脈々と繋がれていくその潮流の場景をインスタレーションとして表現します。
製造過程の部材のみでインスタレーションを展開
これまであらゆる素材との組み合わせを可能にしたARAKAWA GRIPですが、本展示では埼玉県にある所沢事業所で製造過程で使用される部材や金属加工後の切り屑等、製造過程の部材にフォーカスをし、インスタレーションを展開します。

併設のショールームではこれまでのクリエイターとの取り組みを紹介
併設のショールームではミラノデザインウィーク2023でも展示した内容を再構成し、原点であるプロダクト「ハンドプラー(HP-1)」や、ARAKAWA GRIPが活用された建築家やデザイナーによる紹介を、50周年のトータルディレクションを手掛けるSTUDIO BYCOLORにより、コンセプトカラーを活用 した会場構成を通して紹介いたします。創業者・荒川秀夫から始まったARAKAWA GRIPが、あらゆる場所でクリエイションを支えてきた記録をご覧いただけます。
